東北・温泉キャンプに持って行ってよかったもの
結論から言ってしまうと、東北の温泉キャンプ巡りに一番効いた装備は、マットレスとポータブル電源でした。
このシリーズを始めた当初は、正直ここまで装備にこだわるつもりはありませんでした。ただ、あちらこちらの温泉をキャンプスタイルで訪ねるうちに、我慢していても面白くないなと思うようになりました。
原因は、日本でもオートキャンプ場にはキャンピングカーも増え、軽キャンやキャンパーバンなど、テントはリビングとして利用して、寝るのは車の中というスタイルもよく目にするようになったせいです。
もともと旅の目的が温泉と地元の美味しいものなので、料理はしないため調理器具などは最低限でいい代わりに、地面の硬さや冷え込みは眠りを浅くし、そのまま翌朝の体調に直結するため寝具に悩みました。
この記事では、最近完成した装備一式と、それぞれにたどり着いた理由、そして途中で失敗した選択も含めて、包み隠さずまとめます。
なぜ装備に投資するのか
キャンプというと、道具をできるだけ絞って身軽に行くイメージがあるかもしれません。実際、若い頃はそういうキャンプに憧れていましたし、荷物が少ないほど「うまくやれている」ような気さえしていました。
ただ、山に登る以外でのキャンプの目的はあくまで温泉です。日中は運転して次のキャンプ場へ移動し、着いたら設営して、翌朝もまた別の温泉へ向かう。あるいは連泊をして、昼にあちらこちらの温泉を回る。こういった旅を続けていると、寝床の快適さは翌日の体力にそのまま響いてきますし、冷えたまま持ち歩ける極上の刺身盛りなどが満足度に直結することを実感しました。
我慢して疲れを翌日に持ち越すより、装備にお金をかけて毎回きちんと回復する方が、結果的に温泉を楽しむ時間が増えます。これが「我慢しないキャンプ」という言葉の、実感としての中身です。車移動が前提だからこそ、多少荷物がかさばっても構わない、という開き直りも大きかったと思います。
行き着いた先は「4つ折りマットレス」でした
正直に言うと、マットレス選びは今回の装備の中で一番遠回りしました。
最初は軽量重視のエアマットレス、次が厚みのあるインフレータブルタイプを複数個試しました。どれも、そこまで過酷な使い方をしたつもりはないのですが、気がつくと少しずつ空気が抜けていきます。原因がはっきりしないまま、朝になると床の硬さを感じる、ということが何度か続きました。
もうひとつ厄介だったのが、気温が下がる夜間の膨らみ不足です。寝る前はぱんぱんに膨らませていても、冷え込んでくると内部の空気が収縮して、明らかに膨らみが足りなくなります。須川湖キャンプ場や酸ヶ湯キャンプ場のように標高が高く冷え込みが厳しい場所では、これが顕著でした。結果として、朝方に背中や腰の違和感で目が覚めることが何度もあり、せっかく温泉に入って整えた体調が、寝床のせいで台無しになる気がしました。
ここで発想を変えました。車での移動が前提なので、そこまで荷物のサイズを圧縮する必要はないのではないか、と。たどり着いたのが、アルミの断熱シートと、ニトリで購入した4つ折りマットレスの組み合わせです。広げるとテントの床面積とほぼ同じサイズだったこともあり、想像以上の快適さでした。空気を入れる手間もなく、夜中にしぼむ心配もありません。
地面からの底冷えも、断熱シートを一枚挟むだけで全く気になりません。また、暑い夏と春・秋でシーツを使い分けることでさらに快適さを増幅させることもできます。いかにも“布団”を車に持ち込むのはちょっと恥ずかしいですが、これは手放せない寝心地です。
ひとつだけ気になったのが、アルミシートとの間の湿気です。地熱と体温との差でできる結露でマットレスの裏側がうっすら湿っていることがありました。通気性の良い素材ですし、干せばすぐに乾くのですが、何かいいものはないかと探したところ、マットレスの下に珪藻土入りの除湿シートを一枚追加することで解決しました。
さらりとして夏も快適、涼しい季節はもこもこのシーツと厚めの寝袋。
今のところこれが自分たちにとっての最適解です。
💡 Tips
エア系のマットレスは「軽量・コンパクト」が売りですが、車移動なら畳めるタイプの方が空気漏れや気温低下の影響を受けず安定します。下に断熱シート、さらに除湿シートを重ねると底冷えと湿気の両方に対処できます。
冷蔵庫、キンキンに冷えた飲み物のために
キャンピングカーを一度経験すると、冷蔵庫があるということがいかにキャンプの食の幅を広げることに貢献するかということに気が付かされます。コールマンのアイスチェスト(クーラーボックス)でも氷は何日か持ちますが、旅先で買ったものを数日間食べるときや、今日は料理をしないけど明日は買い物に行かないというときにも安心して買い貯められます。
そこで、キャンプで使う冷蔵庫とポータブル電源をキャンプ道具に加えることにしました。
冷蔵庫はPowerArQのポータブル冷蔵庫、ICEBERG2を使っています。容量25L、コンプレッサー式で、0度まで約20分、最大マイナス22度まで約70分というスペックです。正直なところ、ここまで冷やす場面はほとんどありません。長期の山キャンプの場合、アイスチェストを別に用意して冷凍庫として使用する場面くらいでしょうか。
使い方としては、キャンプ場へ行く道中のスーパーで買った飲み物や、近くの直売所で見つけた地元の食品を、その日の分だけ冷やしておく、という程度です。あらかじめ大量に食材を仕込んでおくような使い方ではなく、あくまでその場で現地のものを美味しく楽しむための便利な道具です。
料理を頑張らない前提のキャンプだと、冷蔵庫は「保存」よりも「その場で美味しく飲み食いするため」という役割の方がしっくりきます。特に、日中の運転や温泉入浴で疲れた体には、キンキンに冷えた飲み物が想像以上にありがたく感じられます。
ポータブル電源、飲み物を冷やすだけなら3日間以上
電源で使っているのはBLUETTIのポータブル電源、AC70です。容量768Wh、AC出力1000W、瞬間最大1500Wというスペックで、キャンプ用としてはやや大きめかもしれません。
料理をせっせと作るスタイルではないので、冷蔵庫は常時フル稼働というより、飲み物を冷やしておく程度の使い方が中心です。夜は照明代わりのLEDランタンをつけたり、充電にも使いますが、それでも消費はそれほど多くありません。この使い方であれば、冷蔵庫と合わせて3日間使い続けても、バッテリーはまだ30%ほど残量がありました。
電源への不安がなくなると、行動そのものが変わります。たとえば温泉から戻る時間が遅くなってしまう場合でも、暗くなってからの夕飯ということが重荷にならなくなりました。また、太陽光パネルや車から充電もできるので「電気が足りるかどうか」を気にしなくていいというのも、大きな余裕につながります。
結果的に、その余裕がそのまま温泉に集中できる時間の長さに変わっていった、という実感があります。
テント、NZのセールで買ったカトマンズ
テントは、以前のNZ北島の旅の際にセールになっているのを見つけて購入した、Kathmanduのものです。もう何十泊と使用して、だいぶくたびれてきていますが、変わらずに活躍してくれています。
一番助かっているのは、テント内で立って着替えられるだけの高さがあることです。さらに前室もかなり広めに作られていて、リビングテントが不要なくらいです。シートを敷いてクーラーボックスを置き、キャンピングチェアに座って簡易テーブルで東北のお惣菜をつまみにのんびりと夕食が食べられるのは嬉しいことです。
なるべく雨を避けて出かけるようにはしていますが、濡れたものもテント本体に持ち込まずに置いておけます。前室で腰を落ち着けて過ごせたおかげで、雨自体はそれほど苦になりませんでした。
広めのテントは設営に多少時間がかかりますが、それを差し引いても「テント内で快適に過ごせる時間」の方が大きいと感じています。特にふたり旅の場合、荷物とマットレスを広げてもまだ余裕がある広さは、精神的なゆとりにもつながります。
アラフィフ温泉キャンプは我慢しない
つがる地球村、岩木山青少年スポーツセンター、須川湖キャンプ場、酸ヶ湯キャンプ場、とことん山と、地形も気候も、それぞれです。標高が高く朝晩の気温差が激しい場所もありますが、共通しているのは、施設内(または隣接した施設)に温泉があって移動の負担がほとんどないところ。
道中の日帰り温泉もあわせれば、温泉旅と呼ぶのにふさわしいキャンプ場たちです。
もちろん、装備がしっかりしていれば、どのキャンプ場でも「温泉に集中する体力」を確保できるという点は重要です。マットレスで底冷えと寝苦しさを解消し、ポータブル電源と冷蔵庫で電気と食事の不安をなくし、広めのテントでのんびりする。furoskyの「我慢しないキャンプ」のいまの形です。
- ◎ポータブル電源は余裕を持った容量にしたことで、電気を気にせず行動できた
- ◇装備が増えるほど積載スペースを圧迫するので、車のサイズに合わせて取捨選択が必要
- ✕インフレータブル・エアマットは空気漏れと気温低下による膨らみ不足で、朝方目が覚めることが続いた
この記事は2026年8月の情報です。
